『加賀大乗寺史』舘残翁さん 第107号
わが大乗寺のこ開山さまは、福井県の曹洞宗大本山永平寺をは
じめた道元禅師(一二〇〇1一二五三)のお弟子であり、また永
平寺の第三代の住職でもあった徹通義介(てっつうぎかい)禅師_(一二一九_-一三〇
九)です。
石川県には大本山総持寺(いまは祖院とよぶ)がありますが、
この総持寺のこ開山螢山紹瑾(けいざんじょうきん)禅師_(一二六八ー一三二五_)は、徹
通義介禅師のお弟子であり、また大乗寺の第二代住職でありまし
た。
ですから、大乗寺は、永平寺とも総持寺ともまことに深いご縁
をいただいているのであります。石川県の曹洞宗寺院では、いち
ばんの古刹であります。曹洞宗は、わが国最多の寺院を擁する教
団です。
大乗寺の歴史をしるした本は、舘残翁(たちざんのう)_(八平。一八六七_-一九
四七)さんの『加賀大乗寺史』(北國出版社刊)一冊だけです。そ
の後の増補版の出版にあたっては私も著者ということでお手伝い
をさせていただきました。この本を土台にして、今後、さらに本
格的な大乗寺史が完成されなければならないでしょう。
舘残翁さんの次男幸雄さんは、東京でご健在です。御内室敏
乃さまもご健在です。
舘残翁さまご夫妻を曽祖父母とする泰子さまから、毎年の春秋
彼岸会には残翁さま御夫妻に対するご回向のご丁重な御依頼をい
ただいております。その御芳書を拝見するたびに、私の目頭は熱
くなります。そのまこころに合掌をさせていただいております。
連綿とつづくご信心が、きっと過去と未来をおのずから明らかに
するのでしょう。

戻る