仏教って、結局、なんですか? 第12号
 よく受ける質問です。
 仏教には、いろいろな教えがありますが、戒(かい)、定(じょう)、慧(え)の三学(さんがく)ということばがあります。これは、仏道を修行する基本的なことがらです。いま、この三学によって、ご説明しましょう。
 ひとことでいえば、戒=生活にきまりをつけ、定=からだと呼吸とこころをととのえ、慧=ものごと根本、本質を見通す叡智を学んで生きるということになりましょうか。
 大乘寺は、いわゆる禅宗です。曹洞宗です。ですから、定(禅、禅定(ぜんじょう))が中心となります。戒も慧も定に統一されるのです。
 戒=あいさつをする、はきものをそろえる。人やものごとにまごころをこめて接する、などなど。いま、個人にも家庭にも、国家にも、よるべき生きるきまりがなくなってしまったかのようです。詐欺、暴力、いじめ、殺人、自死など、しかも予想も出来ないような犯罪が多発しています。悲しいことです。今こそ、戒が必要でしょう。
 定=無限大、宇宙大のこころの深まり、広がりが、坐禅の正体です。姿勢をまっすぐにして、呼吸をととのえ、心を静めることによって、今までの自分には考えられなかったような尊厳にみちたのびやかな自由の世界を自覚することが出来るのです。これも、今の世の中でもっとも大切なことでしょう。
 慧=自分中心の立場にしがみついて、しがみついていることもわからないまま、ものごとに向かいますから、のぼせあがってしまって、事実が見えなくなるのでしょうか。なにかにとらわれ、かたむき、バランスがくずれてしまっているというようなことは、この世の中でよくあることです。(なによりも、この私が、そういうなさけない状態です。)
そして、同時に、世のため、人のために働く智慧を身につけることが、いま、もっとも求められている事でしょう。




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