涅槃会(ねはんえ)−おシャカさまのご入滅(にゅうめつ) 第4号
 2月15日は、涅槃会です。大乗寺では、2月14日涅槃会が行われます。
おシャカさまがなくなられたことを、サンスクリット語でニルヴァーナといい、漢字で音訳して涅槃とかきます。
涅槃とは、むさぼり、いかり、ぐちなどの煩悩の災いが吹き消された状態を意味します。とくに、おシャカさまの涅槃は、完全な涅槃ということで、般涅槃(はつねはん)としるし、漢訳して、入滅、入寂といいます。
 わが国では、80歳の2月15日、ネパールに近いインド北部のクシーナガラで、おシャカさまはご入滅されたと伝えます。入滅されるにあたって最後にお説きになったお経が「仏遺教経(ぶつゆいきょうぎょう)」です。
いわば、おシャカさまのご遺言です。
おシャカさまは、自分の亡きあとは、「ただみずからをよりどころとし、真理をよりどころとせよ」とお説きになりました。
 わが国には、おシャカさまのお涅槃のご様子が、「涅槃図」としてのこっています。
私は、大学長をつとめた駒澤学園の記念講堂に、平成8年、創立70周年記念事業の一つとして、「涅槃図」をつくりました。およそ4.8メートル四方、18畳敷きの越前手漉き和紙をつかいました。大正14年(1925)、人間国宝の福井県、故岩野平三郎さんが漉いた世界最大の越前手漉き和紙です。 一枚の和紙で作った涅槃図としては、日本一大きなものです。
 私たちは、平成11年の春、インドのおシャカさまの遺跡を巡礼する旅に出ました。
クシーナガラには、大理石の立派な涅槃堂が建てられ、おシャカさまの涅槃像が奉安してあります。
その周辺には、各国の仏教徒が、低い声でお経をよみ、あるいは五体投地の礼拝を行い、あるいは坐禅をするなど、おシャカさまのお涅槃の意味を真剣にうけとめようとしています。
 私たちは、浄財を喜捨し、焚香し、誦経しました。その間、お堂の管理人は、涅槃仏像をおおっている黄布を開いてくれたのでした。



戻る