大乘寺の寺紋のこと 第57号
 昨年は、大乗寺ご開山徹通義介禅師七百回ご遠忌のとしでありました。
 連日、海外、国内を問わず、ずいぶん大勢のみなさまがお参りにおいで下さいました。
 そのお参りいただいたお方のなかから、大乗寺の寺紋について、ご質問をうけたのは、一度や二度ではありませんでした。
 大乘寺の寺紋は「半月菊」とよばれる紋様のようですが、これは、いったい、なにを意味するのか、いつごろから、なぜ、もちいられてきたのか、私には、まったく知識がありませんでしたので、お答えするのに、ことばがつまってしまったようなことでした。
 その後いろいろ調べていますが、身辺雑忙であることもあって、遅々としてすすみません。なにかご存知のお方がいらつしゃいましたら、ぜひお教え下さいますようおねがいいたします。
 一般に日本人には家紋があります。家紋は、その家の歴史、伝統、由緒、家系をあらわす「しるし」、「印」とされています(『日本の家紋』青幻舎刊)
 お寺の僧侶は、元来、出家ですから、つまり家を出た人間ですから、家紋などもちいるはずはなく、したがって、お寺に寺紋があるのは、ふさわしくないとも考えますが、いつごろからか、お寺にも寺紋があるようになりました。
 ちなみに、わが曹洞宗大本山永平寺の寺紋は、ご開山道元禅師の生家・久我家の「久我りんどう」に由来します。大本山總持寺の寺紋は当初から「五七の桐」とされているようです。
 「久我りんどう」紋「五七の桐」紋は、「両山紋」とよんで、曹洞宗の紋章ともなっていると申してもよいでしょう。

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