盛んな中国の仏教 第60号
 四月の下旬、中国へまいりました。
 大乘寺にとつて重要な用件のためです。
 訪れたのは、上海、浙江省の寧波、紹興、杭州の各市の代表的仏教寺院、宗教事務局です。
 昭和五四年(一九七九)に訪中してから四度めのことです。訪れるたびに、どんどん変貌しています。
 高層ビルが林立し、高速道路が整備され、人びとの表情は明るく豊かで、親切。各種企業の大きな広告が目立ち、自動車が渋滞を招くほど多い。共産主義体制は、強大な資本主義体制に一変したのでしょうか。
 跡かたもなくなっていたお寺は、驚くばかりの豪荘な大伽藍となっているところもありました。国の保護、支援のほか、信者さんの莫大な寄進によるものでしょう。物質的な充足とともに精神的な安定が求められているのでしょうか。
 また、お寺の内部はかなり改修あるいは新築されています。お寺の重役の僧たちは、総体的に若い人たちが多く、70名から130名あまりの青年修行僧を擁しているところもある。境内は、台湾を含めた各地からの女性参拝者であふれています。一週間も宿泊して、法会をおこなっているたくさんの人たち。先祖供養の仏事のようです。にぎやかで、楽しそうです。
 お坊さんたちは、結婚はしない、肉、魚、酒、たばことは無縁です。尊敬、信頼をあつめ、お寺が盛んになっているのは、お坊さんが戒律を厳守しているからでしょうか。
 ホテルの部屋のテレビのCMでは、純金製・観世音菩薩像のペンダントを宣伝しています。以前には、こんなことはまったくなかったことでした。
 人びとは生き生きしている。お寺も解放的で躍動感をともない、活性化しています。
 つねに大乘寺のことが念頭をはなれぬ私は、さまざまなことを感じ、学び、教えられて、帰国いたしました。
 やがて、その成果は具体的なかたちとなってあらわれてくることでしょう。

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